糖尿病とED
糖尿病とは、高血糖によって起こるインスリンが分泌されない、または働きが悪くなり、血液中の糖分の濃度が高過ぎる状態が続く病気です。
最初のうちは自覚症状が無いため軽く捉えられがちですが、長い時間をかけて身体の様々な箇所に悪影響を与えます。重症化した場合は失明や腎機能障害、手先や足先の壊疽などの重大な合併症を引き起こす可能性もあります。
欧米人と比べ、アジア人には糖尿病と深い関わりのあるインスリンの分泌量が少ないとされていて、昨今の生活習慣の変化から年々糖尿病患者は増加傾向にあります。
糖尿病は「勃起障害（ED）」との関連性も高い病気の１つであると言われています。
今回はそんな糖尿病とEDの関係についてご説明していきます。
糖尿病
糖尿病は、高血糖（血液中の血糖値が正常範囲を超える状態）が持続する慢性的な疾患です。
「血糖」と言われる血液中のブドウ糖を処理する働きを持つインスリンという成分が少なくなったり、働きが悪くなることによって血糖値が高くなってしまう症状の事をいいます。血糖値が高い状態が続くと血液がドロドロになって血流が悪くなり、血管が詰まりやすい状態になってしまいます。
糖尿病の原因によって主に4種類が分類されています
Ⅰ型糖尿病
膵臓にあるインスリンを生成する細胞が破壊されてしまう事で、糖尿病を発症してしまいます。
主に若い世代に多くみられます。
Ⅱ型糖尿病
インスリンの分泌量が減少する、またはインスリンの働きが低下する事で起こるタイプの糖尿病です。一般的に成人に多くみられますが近年では若い世代の発症も増加しています。日本人の糖尿病患者の約9割がⅡ型糖尿病であるとされています。
上記でも触れましたが、日本人は元々インスリンの分泌量が少ないとされています。
運動不足や過食、肥満、ストレスなどの生活習慣の悪化によりⅡ型糖尿病を発症しやすくなっていると考えられます。
そういった観点からⅡ型糖尿病は生活習慣病と呼ばれ、肥満ではなくとも内臓脂肪が多い、いわゆるメタボリック症候群でも発生する可能性が高いとされています。
特定の原因によるその他の糖尿病
遺伝子の異常や他の病気、服用している薬によって起こる物を指します。
妊娠糖尿病
妊娠中に初めて発見された、もしくは発症した糖尿病には至らない糖代謝異常状態の事を指します。妊娠中の場合、ほんの少しの高血糖でも胎児に影響があります。そのため糖尿病には至らなくとも妊娠糖尿病にあたります。これは、妊娠中に胎盤が生成するホルモンがインスリンの働きを抑える作用を持っているため起こります。高齢による妊娠、肥満、過去に妊娠中に高血糖と診断された、ご家族にⅡ型糖尿病患者がいる方に起こりやすいとされている症状です。
糖尿病になるとEDになりやすい？
正しく勃起するためには脳や神経、海綿体、血流などが問題なく機能する必要があります。糖尿病性のEDは、以下に挙げるようないくつかの問題が組み合わさって発症する場合が多く見られます。
神経障害
勃起は脳で感じた性的刺激が陰茎に伝わることによって起こりますが、糖尿病によりその神経回路に障害が起こりやすくなります。
海綿体の機能不全
「平滑筋の弛緩」も勃起に必要ですが、糖尿病により海綿体動脈などの内皮細胞において「内皮型一酸化窒素合成酵素」の活性が低下することで、弛緩が起こりにくくなります。
動脈硬化
全身の血管に動脈硬化があらわれるのは、糖尿病の最も典型的な症状です。とくに内腸骨動脈から陰茎動脈にかけて硬化が生じると、勃起機能の大きな低下につながります。
また性器海綿体の毛細血管は、体中でも特に細い血管で、動脈硬化により、血流がもっとも低下しやすい血管です。逆を言えば、EDの症状は体の中で糖尿病やその他の病気、加齢やストレス、飲酒、喫煙などによって動脈硬化が進んでいる兆しでもあります。
上記のような、身体的な原因から生じるEDを「器質的ED」と呼びます。他にも、糖尿病で生じた抑うつ傾向による「心因性ED」や、糖尿病薬や降圧剤などによる「薬剤性ED」もあり、他の病気と比較してもEDを誘発する因子が多いといえます。
有効なED治療薬は？
ED治療薬は先述した「器質性ED」に対しても充分な効果を発揮します。しかし、糖尿病によるEDの場合においてED治療薬の効果が表れにくいといった事がわかっています。
ED治療薬にも用量や種類がありますが、低用量の物では効果が実感できない可能性が高いです。
糖尿病によるEDの場合はしっかりとした硬さを出せる用量でバイアグラや、レビトラの服用をおすすめします。
残念ながら現在の医学の力では糖尿病性EDは、完治させることはできません。しかし完治こそ難しいものの、治療することでEDの症状を改善することは可能です。
糖尿病性EDにお心当たりのある方はまずお気軽にご相談ください。
